【テスト】金沢大学 理工学域生命理工学類バイオ工学コース生物化学工学研究室仁宮一章研究室

RESEARCH SUBJECT研究内容

研究の方向性

研究の方向性

 生物化学工学研究室では、生物が有する独自の構造や機能を、原料・触媒・デザインとして工学的に活用し、それにより得られる技術や物質を、環境・医療へ応用することにより「人類の健康維持」や「地球環境の保全」に貢献する“バイオによるモノづくり”に取り組んでいます。

 主な基盤技術は、遺伝子組換え手法を応用した新規な生体分子や微生物の開発、さらに核酸やタンパク質などの生体分子と無機材料の融合による新規な機能性材料の開発、そして、超音波やイオン液体などの特殊反応場です。これらの技術を組み合わせることにより、人類の健康維持や地球環境の保全にむけた応用研究を行っています。

 人類の健康維持に関しては、①がん治療への貢献としてドラッグデリバリー(薬剤送達技術)、②再生医療への貢献としてテッシュエンジニアリング(3D組織工学)、そして、③食糧問題への貢献としてセルラーアグリカルチャー(細胞農業)の研究を行っています。一方、地球環境の保全に関しては、④環境浄化への貢献としてアドバンスドオキシデーションプロセス(水環境浄化)、⑤低炭素化への貢献としてバイオマスリファイナリー(植物資源活用)、そして、⑥CO2利用への貢献としてCO2バイオリサイクリング(CO2再資源化)の研究を行っています。

「人類の健康維持」を目指した研究

① ~ガン治療への貢献~:ドラッグデリバリーシステム(薬剤送達技術)

~ガン治療への貢献~:ドラッグデリバリーシステム 

 がん細胞を特異的に認識するタンパク質や核酸といった生体分子を遺伝子工学的手法により作製し、抗がん剤を内包したナノキャリア表面に結合させることで、腫瘍部位への特異的かつ十分な濃度の薬物の送達(Drug targeting)を行う。また、がん組織に集積させた後、生体外からの超音波照射によってナノキャリアから薬剤放出の人為的な制御(Drug release control)を行うと共に、OHラジカルを発生させることで、がんを根絶するドラッグデリバリーシステムを開発する。

② ~再生医療への貢献~:テッシュエンジニアリング(3D組織工学)

~再生医療への貢献~:テッシュエンジニアリング

 直径500 μm の細胞凝集塊(スフェロイド)を様々な種類の細胞、細胞数比、空間的配置で作成し、その異なるタイプのスフェロイドをマイクロマニュピュレーターで剣山の任意の位置に配置する「剣山メソッド」により、デザイナブルな内部構造を有する三次元組織を作成する。作製した三次元組織それ自体をビルディングブロックとして、更に大きな三次元組織を作成することも試みる。以上を統合し、cm サイズのデザイナブルな三次元組織を高速に構築する技術を開発する。

③ ~食糧問題への貢献~:セルラーアグリカルチャー(細胞農業)

~再生医療への貢献~:テッシュエンジニアリング

 ウシの畜産は森林破壊や水資源疲弊につながるといわれる。そこで、ウシ三次元筋組織(ウシ培養肉)の生産に関する基盤技術の開発を行う。ウシの筋線維の元となる筋芽細胞の培地に関しては、安価な基礎培地やウシ血清代替物の開発を行う。また、ウシ筋芽細胞の大量に取得するための懸濁培養法の開発を行う。そして、動物由来の足場タンパク質を用いないウシ三次元筋組織の作製方法の開発を行う。以上により、ウシ畜産に依存しないウシ培養肉を安価に作製する技術を構築する。

「地球環境の保全」を目指した研究

④ ~環境浄化への貢献~:アドバンスド オキシデーション プロセス(水環境浄化)

~ガン治療への貢献~:ドラッグデリバリーシステム 

 超音波を水中へ照射することにより、反応性に富む活性酸素種の生成や衝撃波が発生することが知られている。二酸化チタン微粒子などの不均一触媒やフェントン試薬のような均一触媒を添加することにより、この超音波照射により生じる活性酸素種や衝撃波の効果が増大することを見出し、有害化学物質の分解処理および有害微生物の殺菌へ応用している。この技術は従来の光触媒反応と比較して、水相中への超音波浸透距離が大きいなどの多くの利点を有しており、画期的な新技術へ発展できる。

⑤ ~低炭素化への貢献~:バイオマスリファイナリー(植物資源活用)

~低炭素化への貢献~: バイオマスリファイナリー

 非可食性のリグノセルロース系バイオマスを原料として、燃料や化成品原料を効率的に生産する技術を開発する。特に、木質バイオマスをイオン液体で処理することにより、化学的・物理的に強固な構造を示している植物細胞壁成分であるセルロースと芳香族系化合物の高分子であるリグニンとを常温常圧で前処理することができる。これにより、後の生物反応・化学反応・成形加工プロセスが効率的に進行し、効率的にバイオ燃料やバイオ樹脂そしてバイオ複合材料へと変換することができる。

⑥ ~CO2利用への貢献~:CO2バイオリサイクリング(CO2再資源化)

~再生医療への貢献~:テッシュエンジニアリング

 CO2の再資源化を目指し、CO2とH2をそれぞれ炭素源およびエネルギー源とした水素酸化細菌の培養によって、食糧・飼料やバイオプラスチックの生産を行う。食糧・飼料の生産としては、培養した微生物をsingle cell proteinについて検討を行う。バイオプラスチックの生産としては、細胞内に蓄積するPHBの生産を検討する。また、微生物電気合成を行うことにより、CO2と電気から、single cell proteinやPHBの生産を行こともできる。以上により、再生可能エネルギー由来の電力を利用して、CO2の再資源化を行う。

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